小さな海始めました

これから海水魚飼育を始められる方のための、ビギナー用飼育ガイドです

カテゴリ: はじめての海水魚飼育

採取魚を飼育するにあたり、魚とは別の容器に海中の砂と海水を持ち帰ってきます。
その際に必要になるのが保温やエアレーションです。


IMGP1117
※折角採取した砂や海水もエアレーションをしないで持ち帰ると、バクテリアが死んでしまうことがあります。

3~4時間程度の移動時間であれば、それこそ保温のみでエアレーションは必要ありませんが、それ以上の移動時間が必要になる場合には、砂や海水にも必ずエアレーションを行いながら持ち帰ります。

IMGP1129

持ち帰った砂と海水を水槽に入れて、なおかつ手作りしたフィルターにもその砂を詰めます。
フィルターのポンプを稼働させます。

IMGP1184

採取した魚も同様に水槽に入れます。
尚、この際には水合わせの必要はありません。

IMGP1134

これで基本的には水槽のセットが完了です。

水槽をセットし魚を水槽に入れた時から、水の管理の始まりです。
特に初期にはいろいろな問題が発生します。
その問題とは、先ず海水の濃さ。

海水は常に蒸発を続けていますので、そのままでは塩分が変わってしまいます。
そこで水足しをして塩分を一定にする必要があります。
ここで必要になるのがボーメ計です。

IMGP1182


IMGP1121
※水槽に浮かべて比重を読み取ります。

比重を読み取り、1.020~1.025の範囲にあれば問題ありません。
それ以上に濃くなってしまっている場合には、水足しを行います。
この場合の水は水道水で構いません。
水道水にカルキ抜き剤を入れて足し水を作ってください。


--------------------------- ここまででの総括 --------------------------

水槽を立ち上げる事とは、如何に全ての環境を維持するかが重要になってきます。
水槽で魚を飼育する為には、器具や魚だけでは飼育は継続できません。
つまり魚だけではなく、魚と同様に砂や海水の中で生きているバクテリアをどう育てるかと言うことです。

その為にも、如何に海水や砂への負荷を与えずに自宅まで持ち帰って来るかがポイントであり、その要素が水温と溶存酸素と言われる海水中の酸素濃度です。
この2つに注意して持ち帰ることで、その後の飼育の難易度を大幅に下げることが出来ます。
また、最初に持ち帰って来る魚は小さな魚1匹限定です。
(水槽の大きさにもよりますが、今回使用した40cm程度の物であれば、魚1匹にヤドカリとエビを1~2匹程度まで)

どんなに水槽が寂しくとも、追加するのは持ち帰った後、最低でも1か月程度待たなくてはなりません。



お金が潤沢にあり面倒臭いことはすっ飛ばし、お金で解決できる方はお金で解決するとして、あまりお金はかけられないけど海水魚を楽しみたい方のための当ガイドです。
また基本採取魚を飼育することを前提としていますので、ご了承ください。


◇◇◇ 海水魚を迎える前に必ずしなくてはならない事とは? ◇◇◇

海水魚に限らず淡水魚であっても最初に準備しなければならないものは水槽です。
でも水槽だけでは魚の飼育はできません。
そこで何を準備したらいいのか、記していきましょう。

20171001_3

当然ですが始めはこんな大きな水槽ではなく小さな水槽から始めないと様々な問題に対応できません。
そこでこの位の水槽から始めてはどうでしょうか?

IMGP1142

幅が40cmほどの小さな水槽です。
それでもこの水槽に可愛い魚が入る前にやらなくてはならない事があります。
水槽の立ち上げです。

小さな水槽で生体を飼育する上では必ずフィルターが必要になります。
でも既存のフィルターを使っていると海水水槽ではおおよそ1ヶ月もの間、亜硝酸との戦いをしなくてはなりません。

その間に魚は弱ったり死んでしまったりするケースが殆どです。
特に初心者の場合には、死んでしまうケースが多かったりします。
そこですぐに立ち上げられる裏技とフィルター製作をまず行います。

***** フィルターを自作する  ******

採取魚を飼育するためにフィルターの準備をしておきます。
今回使用したのは100均で売っているプラスティックの容器を二段に重ねて製作してみました。

IMGP1100

開口部分の大きさは同じで背の高さの違う容器を一つずつ用意しました。
このうち高さが低い方の容器の底の部分にホロソーとドリルで穴を開けていきます。

IMGP1105

左側のドリルで開けた穴は排水菅・エアーホース・モーターの配線を通す穴で、配線を通す穴はプラグを通す都合上大きな穴への切り込みが入っています。

さらに今回は現物処分で安売りをしていたRIO600という水中モーター(パワーヘッド)を購入、フィルターにセットしていきます。(売価2077円税別)
その他に購入したものは塩ビパイプ(13T)を1m1本と塩ビのエルボー1個両方でも僅かに200円ほど。

組上げた姿がこちら

IMGP1111

100均の小さな容器にモーターそして塩ビパイプとの間にエアレーション用のパイプ(付属)を組み込みます。

IMGP1115
※エアーパイプは潰れないように注意。

さらにこれまた100均の園芸コーナーで売っているプラスティックの網。
この網を容器の底の部分に合せてカットします。

IMGP1116

この網は砂を入れた際に、下に落ちないようにすることと、通水性を考えてこのような形にしました。

IMGP1112

こんな感じです。
この部分には、採取に行った際の砂や石が入り、生物濾過のフィルターになります。

IMGP1184

完成して実働している様子がこちらです。
容器に採取してきた砂を詰めて使用します。
そしてここまでで水槽の準備は一旦終わりです。
なぜフィルターを自作するのかについては、以後の記事で綴ります。


◇◇◇ 飼育に必要なグッズ ◇◇◇


続いて海水水槽を立ち上げたり維持したりするグッズを揃えます。

IMGP1179

左側がPHを計る試薬で右側が亜硝酸値を計る試薬です。

現在は左側のPH測定の試薬を使うことは無くなりましたが、信頼性は抜群です。
デジタルモニターを使っている現在でも、不安になればやっぱり試薬で確かめることがあります。

IMGP1181

現在はPHと水温が一緒に計れる計測器を使用しているが・・・基本的にはデジタル機は手放しで信用できない。

そして水温計。
20171001_4

現在は非接点の物を使っていますが、精度的には100均の水温計の方が正確だと思います。


そして塩濃度を計測するボーメ計。
人工海水を作る上で必須のアイテムです。

IMGP1182

IMGP1183

東急ハンズ・スーパービバホームなどの雑貨店で手に入り、しかも数百円で買えます。
また、このガラス管のボーメ計は、アクア用として販売されているものよりも、はるかに精度が高いことも特徴です。
我が家では現在もこのボーメ計を使っています。

その他には人工海水の素、そして重曹です。
重曹はいろいろな種類が販売されていますが、100均で販売されている清掃用でも問題ありません。
逆に「天然重曹」を謳っているようなものこそ怪しいと考えてください。
重曹は重曹であり天然とか人工とかありません。

ここまでで水槽も含めて多分10000円もあれば充分に準備できると思います。
採取魚ではなく熱帯魚を飼育するとなると上記以外にヒーターの必要性も出てきますので注意が必要です。
照明設備なども同様で好き好きですが、我が家では魚の健康を見る上でトロピカル色豊かなライトは好みません。
この辺りはお好みでどうぞ。




使用した工具:電工ドリル・パイプカッター・ホロソー・13πドリル・6πドリル・8πドリル・20πホロソー







こちらはネイチャーアクアリストの別館です。
一見ハードルが高そうに見える海水魚飼育。
確かにメダカの飼育程簡単ではないかも知れませんが、さりとてその他の淡水魚飼育と比べても大きく変わりません。
ちょっとしたコツと知識があればどなたでも飼育は可能ですし、何より海水魚には人に馴れやすい魚種が沢山居ることも特徴です。
そこではじめて海水魚飼育をする方への応援メッセージとしての別館を立ち上げました。


◇◇◇ ここで必要になる専門用語について ◇◇◇

・水槽について:水槽と言うと透明なプラスティックやガラスでできている物を想像するかもしれませんが、透明ではないものも含めて魚を飼育する全ての容器を水槽と言います。
また決まった定義はありませんが、幅60cm以下の水槽を小型水槽、幅60~90cmぐらいの水槽を標準的な水槽と言うことが多いです。
一般的には幅120cm辺りから大型水槽と呼ばれています。

・水槽を立ち上げる:水槽を立ち上げるとは、魚や生体が水槽内で生存可能な状態にすることを言います。
通常海水を入れて生体を入れても、水槽は立ち上がったとは言いません。
水槽が正常に立ち上がるまでには、生物濾過による硝化活動を完成させる必要があり、生物濾過による硝化活動が完成されるまでの間は魚が亜硝酸の影響で死に至るケースが多いのです。

・環境水について:わりと飼育の水とか水槽の水とか言われたりしますが、水槽内の水の事を総称して「環境水」と言います。
尚当ブログでも、「環境水」と統一して話を進めますので、環境水=魚を飼育する水の事だなと理解してください。

・ろ過装置について:ろ過装置とは人工的に魚を飼育する際の水の浄水器だと考えてください。
ちなみにろ過装置もフィルターも同義語であり、同じものを指しています。

・エアレーションについて:水槽内にエアーを供給することをエアレーションと言います。通常はエアーポンプからエアチューブ(管)そしてエアストーンで構成されています。
ただし、エアレーションを激しくしても溶存酸素はあまり増えません。
なるべく小さな泡にすることが溶存酸素を増やすコツです。

・水中モーター:パワーヘッドとも呼ばれます。環境水を汲むモーターを言います。モーターの揚力量や1分当たりの排水量でその能力の大きさを表します。
稀に海水には使用できない物や、水上面でしか使用できないものがありますので注意が必要です。

・底砂とは:水槽の床に敷く石やサンゴ砂を指します。
海水魚飼育ではPH維持の為に敷いていることが多く、底砂によって水質維持が難しくなることもありますので注意が必要です。

・バクテリアについて:水槽内の生体維持のために欠かせないのがバクテリアで、硝化細菌とも言います。
バクテリアが環境水の中にいることで、硝化活動が行われて、魚や生体が吐き出すアンモニアや二酸化炭素そして糞を比較的安全な硝酸塩に代える働きをしています。

・上部濾過:水槽の上に配したフィルターの濾過装置を言います。

・底面濾過:水槽の底砂の下に配したフィルターを底面濾過または底面式濾過と言います。

・外部濾過:淡水の飼育などにはよく使われる水槽外に配したフィルター形式です。ただし海水魚飼育には嫌気性と成り易いためあまり使われてはいません。

・ろ材:フィルター内でバクテリアの住処となるような石やサンゴ砂・人工のセラミックなどを指します。

・人工海水:物理的に配合された海水に近いものを人工海水と呼びます。
ただし、メーカーによってその配合は微妙に違っており、飼育対象によっても変わってきます。
海の海水は天然海水と言います。

・ボーメ計:海水などの比重を計る計器です。ガラス管で出来た安価なものから工学的に屈折率を計測するものまであります。当ブログのお勧めは一番シンプルなガラス館で出来たボーメ計です。

・PHメーター:PHを測定する計測器です。試薬で計るものや検査紙で計るものもあります。デジタル式のPHメーターは意外に高価ですので最初は試薬タイプのものがお勧めです。(海水の場合には必ず海水専用の物を使います)

・NO2検査試薬:海水水槽立ち上げ時や水槽内に異変が起きた場合に絶対に必要になる検査試薬です。

・ライブロック:海にある岩をライブロックと呼んでいます。ライブロックはバクテリアが既に住み着いていて、安定的な硝化作用が期待でき、飼育を手助けしてくれるものです。

・ライブサンド:ライブロック同様海の中の天然の砂です。『小さな海始めました』ではこのライブサンドからスタートします。

・重曹:海水魚飼育には絶対的に必要なものがこの重曹です。PH維持の最終兵器です。

・水合わせ:魚は住んでいる環境と違う水質の環境水に移る場合には、魚自身の鰓に住むバクテリアを交換する必要があり、その為に水合わせと言う作業が必要になります。方法は非常に簡単で、魚がそれまで住んでいる水に激しくエアレーション10分から15分行い、その後新しい環境水を入れます。
配分としては古い環境水と新しい環境水が1:1目安が望ましいのですが、厳密に計る必要はありません。
尚当ブログでは『点滴法』は使いません。


《水質について》

「水質が悪化して・・・」など「水質」と言う表現は非常に幅が広すぎて、客観性を損なうため当ブログではあまり使いません。
環境水の中に発生している個々の問題1つ1つを取り上げるようにしています。

① NH3・4:アンモニアやアンモニアイオンを指した言葉で、水槽の立ち上げ初期に僅かの間だけ計測されます。
但し、生物濾過による硝化サイクルが立ち上がると計測できなくなり、再発生も殆どありませんのでここでは割愛します。

② NO2値:亜硝酸値を言い、亜硝酸とは所謂窒素酸化物の1つで、亜硝酸が発生することで魚や生体は呼吸ができなくなり、その値が大きい場合死に至る危険な物質です。
ですがこの過程を経ないと水槽が立ち上がらず、飼育初期で飼育者が心折れる原因でもあります。

③ NO3値:硝酸塩濃度を言い、硝酸塩は短期間ではさほど生体に影響を与えることはありませんが、長期間高濃度の硝酸塩に晒されると突然死の原因になります。

④ 溶存酸素:環境水に溶け込んでいる酸素の量を溶存酸素と呼びます。Do値などとも言います。

⑤ 水温:環境水の温度の事です。魚や生体が気持ちよく過ごせる水温を適水温と言います。

⑥ PH:酸性かアルカリ性かを表すもので、特に海水魚はPHに対して敏感ですのでまめに計測する必要があります。
海水魚飼育の場合適切なPH値は8.2~8.4とされておりこの数値から外れると魚や生体に影響が出易くなります。
また、8.0より低くなれば低PHと呼び8.5より高くなれば高PHと呼びます。

⑦ 塩濃度について:よく塩分濃度と言われる方がいます。塩分濃度と言う言葉は、塩分と濃度は同義語であり共に濃度を指しているそうです。
そのため塩の濃度即ち塩濃度というのが正解だという事で、当ブログでは塩分濃度とは言わず塩濃度として話をしています。
また塩濃度を客観的に判断するために、通常は比重で判断し、1.020~1.025を海水比重と言い1.020より低いものを汽水・1025より高いものを塩水と呼ぶことがあります。



このページのトップヘ